ピースボートエコシップは延期?海外の新造船への反応は!

「地球一周の船旅」を主催しているピースボート。これまでピースボートはチャーターした船で地球一周クルーズを行っていましたが、現在、自前のピースボート新造船エコシップ建造プロジェクトが進行しています。

ピースボートのエコシップについて日本語サイトで検索してみると、賛否両論、毀誉褒貶(きよほうへん)が激しく、ピースボートエコシップの何を信頼していいのかよくわからない・・・というのが実情です。

そこでこの記事では、ピースボートの新造船「エコシップ」について海外サイトを中心に調べてみました。ピースボート新造船エコシップの造船所の状況、エコシップ計画の建造の流れ、船賃の費用について。エコシップの建造が遅れて待てない人へ私が考える対処法もまとめました。

ピースボートってどんな団体?

パラオ大統領がエコシップを応援
パラオ大統領がエコシップを応援している写真

ピースボートは、国際交流を目的として設立された日本の非政府組織(NGO)、もしくは、その団体が企画している船舶旅行の名称のことを指します。ピースボートが設立されたのは、1983年のこと。1983年の9月2日の初クルーズを皮切りに、これまで100回を超えるクルーズを実施しています。

またピースボートと言えば、ポスターにも大きく書かれている「地球一周の船旅」のイメージが強いですが、当初はアジア各国や日本の周辺をめぐる短いショートクルーズがピースボートの主体でした。

ピースボートのトレードマークともいえる世界一周クルーズをはじめたのは、1990年から。ちなみにこれは、日本の団体として戦後初の世界一周クルーズの実現でもありました。豪華客船として有名な飛鳥クルーズが初めて世界一周を催行したのは1996年なので、ピースボートが飛鳥に負けない歴史と実績を持っているのはちょっと意外ですよね。

ピースボートはどんな船で世界一周しているのか

ピースボートが使用していた「オーシャンドリーム号」

ピースボートは地球一周の船旅を主催している団体ですが、船そのものを所有しているわけではありません。そのため、船会社から客船をチャーターしてクルーズを行っています。

これまでピースボートが借りた船は、およそ20隻以上にのぼります。過去には朝鮮民主主義人民共和国船籍の貨客船「万景峰92」をチャーターしたことも。ちなみに、この事実をもってピースボート=北朝鮮のスパイと断定される方々もいますが、もちろんそんなことはなく、船旅で北朝鮮を訪れる場合は北朝鮮籍の船を使用するのが便利だったためのようです。

ピースボートは「現地を訪れ過去の歴史を自分たちの目で確かめよう」というところからスタートしている団体です。そのため昔は社会派なクルーズが多かったので、こういうことになったんですね。日本から遠い国々を訪れたことがあっても、北朝鮮を旅した経験がある人は少ないはず。そう考えてみると、非常に興味深い旅先のひとつです。

さまざまな船でいろいろな場所を旅してきたピースボートですが、本来は2020年4月から「オーシャンドリーム号」と「ゼニス号」での2隻体制で地球一周クルーズを実施する計画でした。
ピースボートボランティア
しかし新型コロナウイルス感染拡大影響を受け、2020年3月以降、現在までのピースボートクルーズは全て中止となってしまっています。そこでピースボートは、このコロナ時代に対応する新しい船旅のスタイルを確立するため、オーシャンドリーム号やゼニス号よりも大型の客船一隻体制へとシフトチェンジすることを決定しています。

2021年からは新たにチャーターした、総トン数 77,441トン / 全長 261.3メートルの「パシフィック・ワールド号」でのクルーズを予定しています。

ピースボートのエコシップって?

エコシップの応援者
ピースボートのエコシップ応援者

ピースボートの新造船エコシップに本題を戻します。

ピースボートは現在、船会社から客船をチャーターするだけではなく、自前の新しい船を建造しています。それが、「ピースボートエコシップ」です。

持続可能な地球一周の実現を目指して、消費エネルギーや廃棄物の削減、自然エネルギーを取り入れた”世界一エコロジーな船”で旅をしようというエコシッププロジェクトです。
エコシップの植物園
ピースボートの公式サイトを見てみると、エコシップは液化天然ガス(LNG)を主要燃料として使用し、風を動力としながら太陽光で電力をまかなうとのこと。14階建てで総トン数5.5万トンと、完成すれば飛鳥2の5万142トンを超えて国内最大のクルーズ客船になります。

また、両側面にソーラーパネルが装着された収納可能な8本のマスト(文字だけでは意味不明ですが、画像を見るとスゴイ!!)が備え付けられていたり、船内にガーデンパークやインフィニティプールがあったりと、かなり革新的なデザインとなっています。そのコンセプトは「自然と共存する船内」。

過ごしやすさと持続可能性を追求した最先端のデザインが随所にちりばめられているそうです。サイトに載ってるのは実際の写真ではなくCGのイメージなのですが、それでも(それだからこそ?)画像を見ているとかなり興味深いものがあります!!
エコシップの国連フォーラム

ピースボートエコシップの機能・性能

・液化天然ガス(LNG)
・風を動力にする風力発電
・太陽光のエネルギーを集めるソーラーパネル
・14階建で5.5万トン
・消費エネルギーや廃棄物を削減するシステム
・船内で世界中の植物が育てられている空間

ピースボートの新造船エコシップの航路

ワンジラマータイもエコシップを応援
ピースボートの新造船エコシップは、船体だけではなく行き先も魅力的です。

第1回ピースボートエコシップ
2022年4月出航で、人気の高いサントリーニ島やバルセロナ、モロッコのカサブランカに加え、アメリカ東西海岸を代表する都市のニューヨークとサンフランシスコに寄港します。クルーズのハイライトは、大迫力の絶景が広がるアラスカフィヨルド!東アフリカのエリトリアも、ピースボートならではの寄港地ですね。
エコシップの世界一周航路

【第1回エコシップ世界一周クルーズ(アラスカ航路世界一周コース)】

第1回エコシップ世界一周クルーズ

第2回ピースボートエコシップ
第2回エコシップの航路
2022年9月出航の第2回は「南極航路 ヨーロッパ&南米コース」、12月出航の第3回は「南極航路 アフリカ&南米コース」と、船で南極へ訪れるんです。

地球環境の変化と人間の活動による自然環境への影響を鑑み、南極観光の規制は年々厳しくなっています。ピースボートでは過去に何度か南極航路を実施したことがありますが、一番最近訪れたのは2017年のこと。大型客船での南極遊覧は年々難しくなっておいるため、南極クルージングはエコシップならでは航路だといえます。

【第2回エコシップ世界一周クルーズ(南極航路 ヨーロッパ&南米コース)】

第2回エコシップ世界一周クルーズ

【第3回エコシップ世界一周クルーズ(南極航路 アフリカ&南米コース)】
世界一周エコシップの航路

第3回エコシップ世界一周クルーズ

エコシップの造船所となるヘルシンキ造船所とは?

ヘルシンキ造船所
ピースボートエコシップの建造を引き受けたのは、Arctech Helsinki Shipyard(アークテック・ヘルシンキ造船所)という施設。アークテック・ヘルシンキ造船所のルーツは前身を含め1865年までさかのぼれるルーツのある造船所で、従業員数は約400名、砕氷船をはじめとする北極圏向けの特殊船やタンカー、クルーズ客船を建造しています。
エコシップの応援者
ちなみに2019年2月、「ピースボート570億円豪華客船計画が座礁」と週刊文春が報じたことから、エコシッププロジェクトは頓挫するのでは?という憶測が広く出回りました。

これに対しピースボートクルーズの主催旅行社ジャパングレイスは、”ピースボートエコシップ計画が座礁”という表現は実情を著しくゆがめると反論し、週刊文春側へ抗議と訂正を要求しました。また、新造船エコシップを建造するにあたり造船所と契約が結ばれていることを証明するため、アークテック・ヘルシンキ造船所からの契約書が公表されていました。

【アークテックヘルシンキ造船所からのレター】
ヘルシンキ造船所とのエコシップ契約

エコシップの総工費500億円!ピースボートには払えない?

CNNに取り上げられたエコシップ
CNNに取り上げられたピースボートのエコシップ

造船所に続いては、ピースボートエコシップの費用面について着目してみたいと思います。

ピースボートエコシップの新造船の総工費は、2017年末にCNNに掲載された記事によると約5億ドル(約570億円)とのこと。
新造船建造ファイナンス
もちろんNGOであるピースボートのポケットにそのような巨額の資金があるわけではないので、工費の調達には欧米でクルーズ船を建造する際によく利用されるファイナンスの仕組みを活用していくようです。

なお、客船建造のためのファイナンスの仕組みについても調べてみたところ、返済の際は全額を一括で支払うのではなく、船の完成・就航後も数十年の計画で毎年返済していく仕組みになっていました。

日本財団の建造ファイナンス
日本だと日本財団が心臓全の建造貸付をしています。年利1.7%です。海外の政府系になると100億単位での貸付をしていました。

【世界一環境に優しいクルーズ船を 日本のNGOが建造計画】
https://www.cnn.co.jp/travel/35111935.html

ピースボートの新造船エコシップはいつ完成するの?

大切なお知らせ

当初2020年に完成する予定だったピースボート新造船エコシップですが、2019年、その完成が2年後ろ倒しの2022年になることが発表されました。

主催旅行社ジャパングレイスによる説明文を貼っておきますが、簡単に説明すると、新しい客船の国際安全基準に適合するよう仕様変更の必要が生じたためです。客船の国際安全基準が2017年に改定されたため、エコシップの造船工期を変えることなく新基準に適応した仕様に変更できなかったんですね。

【エコシップクルーズにお申し込みの皆様へ】
https://cruise-navi.com/wp-content/uploads/2019/04/2a5805133da566fcda3baef11acb6583.pdf

ピースボートエコシップの完成の遅れが報じられた際は「資金不足だったのでは?」「そもそもピースボート詐欺なのでは?」といった憶測を語る人びとが続出しました。海外サイトを調べてわかったのですが、世界中の全造船の安全基準の一斉変更に伴うものというのは真実であることがわかりました。
ピースボートエコシップの部屋

なかなかピースボートのエコシップ造船の進捗情報がオープンにならないのでヤキモキしたりあらぬ勘ぐりを働かせてしまう心境も理解できますが、新製品の開発は完成間近まで情報が出せないのが世の常です。エコシップの建造は世界でも類を見ない先進的な船を造るプロジェクトですから、なおのことなのでしょう。

コロナで止まっていたアークテック・ヘルシンキ造船所造船所が2021年初頭に仕事を再開していました。

大半の造船納期が遅れているそうです。
「2022年のピースボートエコシップ完成」というのも世界がコロナ禍に飲み込まれる前の話ですので、さらに工期が遅れるのではないでしょうか。
ピースボートエコシップ協力者
もちろん、これはピースボートの新造船エコシップのアークテック・ヘルシンキ造船所造船所だけに限った話ではなく、世界中のあらゆる造船所で場所で同様の事態が起きているようです。現在私たちは未曽有の事態の真っただ中にいるということも加味して考える必要があるように思います。

■ピースボートエコシップまとめ
エコシップ
ピースボートの新造船エコシップに関する情報をまとめてきました。エコシップの建造は依然として道半ばで、進捗に関するお知らせや記事もわずかなものでした。

ピースボートの資金繰りや新型コロナウイルスの感染状況、日々変化する社会情勢など、心配な部分を挙げればキリがありませんが、実は旅行やクルーズの需要が落ち込んでいるかというと決してそんなことはありません。

先日も、オーシャニアニアクルーズが2023年出航の180日間世界一周クルーズの販売を開始したところ、なんと販売初日で完売したというニュースが話題になりました。
180日間世界一周が満席
【180-Day World Cruise Sells Out In a Single Day!】
https://www.cruisehive.com/180-day-world-cruise-sells-out-in-a-single-day/46886

世界の先行きは依然として不透明でピースボートのエコシップの建造にも不安・心配は事欠きませんが、ピースボートの実績を考えてコロナ終息まで見守る姿勢が求められていると思います。

エコシップ建造者
この記事の始めのほうに、ピースボートが世界一周クルーズを初めて催行したのは1990年と書きましたが、この年は湾岸戦争が勃発した年でもあります。奇しくも、まさに戦争が始まったタイミングとピースボートクルーズの時期は重なっていました。

ピースボートは世界一周なんて無理だという意見が圧倒的だった当時に世界一周クルーズを成功させ、その後も船旅を続けているのです。その行動や実績は認められるべきですし、国際NGOピースボートとしての活動も世界的に評価されています。
世界が応援するエコシップ
また、ピースボートクルーズに乗船したいけれど新造船エコシップの完成まで待てないというひとは、新チャーター船「パシフィック・ワールド号」での世界一周をおすすめします。パシフィックワールドはピースボート史上最大の客船でバルコニー付きの客室も非常に多く、航路も魅力的です。
なにより、飛鳥2よりも、エコシップよりも大きい船です。

【パシフィック・ワールド号のご案内】

パシフィック・ワールド号

迷われている人は、豪華客船パシフィックワールドへの乗り換えがおすすめです。

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【参考サイト・ページURL】
http://ecoship-pb.com
http://www1.cts.ne.jp/~fleet7/Museum/Muse524.html
https://helsinkishipyard.fi/en
https://dio-the-world.xyz
https://cruise-navi.com/peace-boat/eco-ship
https://cruise-navi.com/peace-boat/eco-ship-delay
https://funeco.jp/