ピースボートは遊びなのか?学びなのか?

ピースボートは学び・スタディーツアーについて

国際交流を主な目的とするNGOピースボートでは、世界の様々な問題を知り、具体的に行動を起こすための活動を数多く行っています。「遠い国のことだから関係ない」と思うのではなく、多様な角度から知ることで自分で考え行動を起こすことができ、普段自分の住む日本の政治や環境についても改めて知りたいと思うようになります。今回はそんなピースボートが継続的に行っている取り組みをご紹介します!

地雷問題(カンボジア)

ピースボートクルーズでは定期的に「カンボジア地雷問題検証ツアー」を開催しています。ベトナム戦争で埋められた地雷や、ポルポト政権の内戦によって埋められた地雷を合わせると約400万個から600万個の地雷が埋められたことになっていますが、実際はもっと多くの地雷が埋められていると言われています。和平合意締結後の1992年以降から地雷の除去活動が行われていますが、カンボジア北西部の農村地帯は今もたくさんの地雷が残っています。

このツアーでは「カンボジア地雷対策センター」が行う地雷除去現場を見学したり、地雷被害者の支援を行う「アンコール障がい者協会」や「シェムリアップ州立リハビリセンター」と呼ばれる、義足の製造や歩行訓練を無料で受けることができる施設を訪問します。現地で活動をしている方の話を直接聞くことで、今私たちにできることや、この問題を繰り返さないためにすべきことを考える機会になります。

長年継続して行っているピースボート地雷廃絶キャンペーン(P-MAC)の「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」により、集まった募金を使用しいくつもの地雷を除去し、その土地に小学校を建設しました。現在はその小学校に通う子どもたちの健康を支援するために、石鹸を届ける「手洗いプロジェクト」を行っています。

エル・システマの魅力に迫る(ベネズエラ)

エル・システマとは南米ベネズエラで始まった音楽を使った教育システムです。山間のへき地や経済的に貧しい地域などを中心に無料の音楽教室を開き、貧困や少年犯罪など社会問題の解決の糸口となるよう活動を行っています。

ピースボートでは、世界中から注目を浴びているエル・システマのメンバーを船内に迎え、音楽ワークショップや講演会などを行っています。過去には、エル・システマの本部である「社会活動のための音楽センター」やスラム街にある「パライソ音楽練習所」を訪ね、日本で集めた楽器を支援物資として贈呈しました。

おりづるプロジェクト(日本)

ピースボートでは2008年に核兵器のない世界を目指す「おりづるプロジェクト」を始動、このプロジェクトでは広島・長崎の被爆者と世界を巡り、多くの方へ原爆被害証言を伝える活動を行っています。

各国の専門家や国連職員などを船上に招き、核兵器禁止条約や中東非核地帯化に関する講演会や洋上会議なども行っています。現在も多くの国で核兵器が保有されていますが、その被害や実態についてはあまり知られていません。

広島・長崎の被爆者の高齢化が進んでいる今日、その体験を直接世界に伝えられる時間は限られています。ピースボートでは世界中にいる核被害者や戦争被害者と共に、核も戦争もない世界を創る道を模索し続けています。

ガラパゴスの森再生プロジェクト(エクアドル)

ダーウィンの進化論で有名なガラパゴス諸島。観光客や島民の増加、それによって持ち込まれてた外来種などの影響で、独自の生態系と進化を遂げてきた貴重な自然地域が危機にさらされています。

ピースボートではフォトジャーナリストの藤原幸一さんやチャールズ・ダーウィン財団と共に「ガラパゴスの森再生プロジェクト」を立ち上げ、ガラパゴスの固有種であるスカレシアの植林を行っています。

この植林ツアーは2007年から始まり、現在も継続して行われています。開始当初は「そんなことして意味があるのか」「一体何年かかるのか」と現地から疑問の声が寄せられましたが、そのような声の1つ1つに丁寧な回答や説明を続けてきたことで、現在は地元の方々やエクアドル政府から協力を得ながら活動を続けています。

植林活動には地元の高校生らも毎回参加し、自然を保護することの重要性を共に学んでいます。彼らと一緒に植林作業をすることで交流が生まれ、お互いの文化を理解するきっかけにもなります。

パレスチナや中東地域の問題

内戦によって多くの人々が難民となったシリアや、50年以上占領が続いているパレスチナなど、現在も様々な問題がある中東地域。ピースボートではヨルダンの難民キャンプなど、実際に現地を訪れ、そこで暮らす方の話を聞くことを大切にしています。

現在、直接訪問することが困難な地域が中東には増えてしまいましたが、パレスチナ・シリア・イラクなどの難民やそこで暮らす人々のサポートを継続的に行っています。また国際社会に対し改善を求めたり、現地の専門家や若者を船に招き、生の声を伝えてもらっています。

2017年5月にはイランにあるテヘラン平和博物館から5名の方が乗船しました。この方々の中には80年代に起こったイラン・イラク戦争に志願し、マスタード・ガスという化学兵器の被害を受けた人、化学兵器の他にも地雷や爆弾の破片で怪我を負った人もいます。このような被害が二度と起こらないような世界にするべく、テヘラン平和博物館では現在ボランティアや委員活動をしているそうです。船では戦争が及ぼす被害の大きさや、化学兵器がもたらす健康被害・環境破壊などについて伝える企画が行われました。

SDGsキャンペーン

ピースボートでは国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて取り組んでいます。これは貧困の無い世界の実現や、気候変動対策、環境問題、エネルギー問題などに幅広く取り組むプロジェクトで、17のゴールと169のターゲットから成り立つ持続可能な世界にするための国際的な目標です。

ピースボートの船体にはSDGsのロゴマークがペイントされ、世界中の港でこの目標の重要性をアピールしています。また、持続可能な開発に向け、国連や国際機関に政策提言をしたり、各方面の専門家や国連職員を船内へ招き、講義やワークショップを行い参加者一人一人の理解を深めています。

まとめ

このようにピースボートでは様々な取り組みを行っています。この取り組みについてより深く学びたい場合は「地球大学」の参加をオススメします。地球大学とはピースボートクルーズ乗船前から下船後のアクションまでの約半年間で、NGOや国際機関などで必要とされる知識・理解力・行動力を身につける平和教育プログラムです。船の上のゼミと世界各地での現場体験を通して、地球で起こっている問題を自分ごととして考える視点を養い、平和な世界を創るための実践力を身につけます。

地球大学プログラムは海外のNGOや大学とも連携しており、世界中の学生や若者と共に学ぶことができるのが大きな特徴です。帰国後は提携するNGOやNPO、企業などでインターンシップを体験し、より具体的に世界に貢献する力を養うことができ、国内外の大学とも連携しているので単位認定や交換留学などに対応しています。

地球大学に関する詳しい資料は、ピースボートクルーズHPから簡単に請求することが可能です。また、電話や説明会でも気軽に話を聞くことができます!